占いとシミュレーションゲーム

レンタルではありますが、永遠の０（ゼロ）を見てしまいました。
いやなかなかいい映画でした、率直に。
あの百田直樹の原作とはとても思えません。
戦争ことに特攻隊を扱うと、ヒューマニズムを模した偏見・色眼鏡がつきもので、違和感を超えた嫌悪感を感じるものがほとんどでした。さもなくば兵器などに着目したヒーロー性や戦争賛美、国家礼賛とかの視点とか。
永遠のゼロはそのどちらでもありません。個人、その延長線にある家族、社会・組織、そして国家。どれかに偏ることのない主人公の生き方には共感を覚えます。妙な思想に惑わされることなくストレートに入り込めます。
現実問題こんなきれいごとだけではないでしょう。実際、私は戦争経験者の祖父から若いころに話を聞いたことがあり、ショックを受けました（内容は書けません）。生きていれば大なり小なりきれいごとだけではすみませんが、だからといって汚いことばかりとも言えません。個人の主張ばかり通していたら社会は成り立ちませんが、だからといって組織に埋もれていたら自分を失くしてしまいます。
小っちゃい話ですが、私は病院が嫌いです。注射や薬のレベルでも極力避けます。そんな私でも、家族が必要とするなら迷わず体を提供します。それが命がけであったとしても。たぶん家族がいる人ならそう思うでしょう（そうであってほしい）。
季節がら水難事故が起こっています。溺れている人がいたらまずそれに巻き込まれないよう自分の安全を確保し、安全な場所から救助する方法を選択するのが常識です。それが愛する家族であったとしても。けれど咄嗟の場合、緊急時、それを忘れて飛び込んでしまい命を落とす人もいます。これを悪い例だといって批難の的にするのはどうなんでしょう。

命とは？生きるとは？愛とは？
これを考えるいいきっかけになりました。
例によって思想がらみの批判もあるようですが、いい映画だと思います。